絶望書店日記

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絶望書店主人推薦本
『冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』
『冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』

冤罪、殺人、戦争、テロ、大恐慌。
すべての悲劇の原因は、人間の正しい心だった!
我が身を捨て、無実の少年を死刑から救おうとした刑事。
彼の遺した一冊の書から、人間の本質へ迫る迷宮に迷い込む!
執筆八年!『戦前の少年犯罪』著者が挑む、21世紀の道徳感情論!
戦時に起こった史上最悪の少年犯罪<浜松九人連続殺人事件>。
解決した名刑事が戦後に犯す<二俣事件>など冤罪の数々。
事件に挑戦する日本初のプロファイラー。
内務省と司法省の暗躍がいま初めて暴かれる!
世界のすべてと人の心、さらには昭和史の裏面をも抉るミステリ・ノンフィクション!

※宮崎哲弥氏が本書について熱く語っています。こちらでお聴きください。



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2001/11/28  1ch.tv!新たなるメディア!!

 1ch.tvのありようを観ておりますと、商業活動というのは貨幣流通や物流なんかの物理的基盤のほかにいろんな要素で成り立っていることにあらためて気付かされます。それは一般的に「信用」や「信頼」なんて言葉で言い表されておりますけど、どうもそれだけでもないような気がいたします。
 レッシグの『CODE』では商業の力というものがすべてを決定するほど巨大であると考えられておりますが、はたしてそんなものでありましょうか。たしかにレコード会社はナップスターの息の根を止めましたけど、それで「正規」の音楽ウェブ流通が確立したわけではない。そこには何かほかの力が必要とされているようです。
 『CODE』に則すると「規範の内面化」なんてことなのやも知れませんが、これでは説明になっておりません。自然に変化するのを待っているわけにはいかず、どうにかして皆の意識を一定方向に変容させてコンテンツに金を出させるようにせねばならぬのですから。
 とりあえず第一弾のコンテンツ事業では完敗した<商業>陣営ですが、次は世界的巨大資本によって遙かに大規模なシステムを構築して攻勢を掛けるようです。あるいはこんなコード(アーキテクチャー)を組み上げることで、今度は成功するのかも知れません。
 それはそれで結構なことですが、1ch.tvが提唱しているような個人の情報発信に対する利益の還元なんてものとはまったく無縁の話であります。こっちはこっちでなんらかの方法論がいることでありましょう。

 さてさて、 ( ゚д゚)ポカーン祭のあまりの慘状に、年金氏を解任し1ch.tvを「正常化」せんとするクーデター騒動が勃発しました。出資企業や提携先がまともな経営を願うのはあたりまえのことですが、ほとんどのウォッチャーたちまでもがそう望んでいたようで、なんと愚かなる人々でありましょう。1ch.tvをどこにでもある普通の掲示板にして何が面白いのでしょうか。年金氏を切るなど、金の卵を産むガチョウを殺すようなものです。
 あたしはこの顛末をひやひやしながら見守っていたのですが、さすがに西さんは大したもので、「正常化」などという見当はずれの訴えをしていた莫迦者連中を退けてそれまでの路線を死守しました。
 クーデター騒動とちょうど同じ時期にランダムハウス社が電子出版子会社を閉鎖するという発表があったのは象徴的ですが、まともな企業がまともなことをやって成功するほどコンテンツ事業は甘くないのです。これまでとはまったく違う方法論を確立しないといけないのですから。

 絶望書店は開店以来4年間、顧客情報を恣意的に使ったことはありません。そんな実績などには関わりなく、人々は普通そんなことはしないだろうという社会全般への信頼によってこんないかがわしい本屋に前払いで注文を出すのです。信頼以前に疑いが浮かぶことさえほとんどありません。恐慌でも起こらない限り社会全般への信頼は揺るぎません。いや、そんな状態を恐慌と呼ぶのですが。
 はっきり申しまして、この出鱈目のかぎりを尽くしてきた絶望書店主人にしてこんなことを書いて皆様に考える隙を与えること自体、商売人としては怖いことです。あの無茶苦茶の権化のように云われている2ちゃんねるでさえIPを取ってないという建前で成り立っており、旧来の意識の産物に過ぎません。
 それに引き替え、1ch.tvのなんと軽やかに旧弊なる意識を嘲笑い天高く飛翔することか!!つぎつぎと我々の常識とやらがどれほどの確かな根拠を持っているのか暴き立てていくのです。ぬるま湯に浸かった人々をやすやすと恐慌に導くのです。我々はただ ( ゚д゚)ポカーンとするよりほかはない。
 自分はものが判っていると想い込んでいるウォッチャーたちは何が起こっているのかも理解できず、理解できないものは電波だとかなんとか判りやすい適当なラベルをつけて眼の前から排除しようとするだけです。
 新たなるメディアはつねに( ゚д゚)ポカーンから始まることが判っていない旧世界に取り残された莫迦者どもなのです。

この項、下に続く↓