絶望書店日記

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絶望書店主人推薦本
『冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』
『冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』

冤罪、殺人、戦争、テロ、大恐慌。
すべての悲劇の原因は、人間の正しい心だった!
我が身を捨て、無実の少年を死刑から救おうとした刑事。
彼の遺した一冊の書から、人間の本質へ迫る迷宮に迷い込む!
執筆八年!『戦前の少年犯罪』著者が挑む、21世紀の道徳感情論!
戦時に起こった史上最悪の少年犯罪<浜松九人連続殺人事件>。
解決した名刑事が戦後に犯す<二俣事件>など冤罪の数々。
事件に挑戦する日本初のプロファイラー。
内務省と司法省の暗躍がいま初めて暴かれる!
世界のすべてと人の心、さらには昭和史の裏面をも抉るミステリ・ノンフィクション!

※宮崎哲弥氏が本書について熱く語っています。こちらでお聴きください。



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2003/8/26  がたがた云う前にやることはあるよな。

 少年犯罪を考えるを管理されているkangaeru2001氏は、あくまであれは無断でコピーしたミラーサイトであると頑ななまでにデータの変更や追加をやらなかったのですが、今月になって方針を転換されました。
 基となったサイトは大変な労作でウェブ黎明期には貴重な存在だったのですが、とくに昭和20年代や30年代前半は弱く、間違いも多く、ほんとは閉鎖された3年前に歴史的役割を終えて、もっとまともなデータベースが構築されるべきだったのです。kangaeru2001氏も当然そうなるだろうと考えていて、あれはそれまでの空白を埋める臨時の繋ぎに過ぎないとされていました。名前からも判るように、まず1年以上もやることになるとは想ってなかったようです。
 ところが、最近の少年犯罪への異常な感心の高まりにも関わらずそのような動きはなく、結局はあのミラーサイトがこれまでよりいっそうに頼りとされて、しかも、昔のデータがあまりないのを見て昔は事件が少なかったと想う者までがいて、これはさすがに問題であると考えるようになったわけです。
 とにかく、3年前に閉鎖されたサイトにいまだに頼るというのはウェブに棲息する者としてこれほど恥ずかしいことはないんではないか。なんとかしたいということでありました。

 とりあえず昭和20年代の事件と13歳以下の事件が大幅に追加されましたが、とくに昭和20年代に関しては東京版の新聞記事の主なところはすべて抑えたと断言して間違いが無く、ようやくデータベースと呼ぶに相応しい体裁になってきました。
 いままでひとつもこういうものはなかったと想うと背筋が寒くなってきます。ウェブについてなにやら偉そうなことをほざいたりしているあなたはもうちっと考えたほうがいいんではないのか?どのツラさげてウェブについて語っているのか知らんが、ほんとに恥ずかしくはないのか?

 ちょっとばかり手伝って昭和20年代の新聞を読み込んでいたのですが、いやあ、昔の事件は凄いですな。有名どころは識ってるつもりだったのですが、大小取り混ぜてまとめて眺めてみるといやはやなんとも言葉もございません。まあ順番に全部読んでみてくださいな。
 やっぱり昔はスタージョンの法則が生きていて10%くらいはクズじゃないほんとに面白いものがあったようですな。昨今のちゃちな詰まらん事件で悦んでる輩の気が知れません。
 昭和20年代前半の新聞は2ページしかなく、しかもまだ日本にも政治や外交があった時代ですから事件記事は1ページの半分くらいしかなく少ないのがまことに残念。夕刊と合わせて6ページしかない後半でもあれだけ多いんですからほんとに惜しい。
 それでも、あまりに破天荒で脳味噌ぶっ飛んだようなのがうじゃうじゃいる一方で、なんと云うか犯罪をメディアとして意識してきちんとスタイリッシュに表現している方がいたりして、嬉しくなってきます。
 グループ名なんかいろいろ凝ってますし、これは両方とも20歳ですから<少年犯罪を考える>には載ってませんが、忍び込んだ家には必ずスペードのエースを置いてきたり、絨毯をはがして竹棒を組み合わせて「DANKE」なんて綴ったりする怪盗がほんとにいたんですな。
 『青少年非行・犯罪史資料1-3 』(赤塚行雄編 刊々堂出版社)にはこの手の20歳代の事件も含めて戦後の新聞記事のほとんどが掲載されていて、お手軽なので好き者にはお奨めです。ただ、僅かに落ちているものもありますし、表現も微妙に違ってますし、なにより写真と古い新聞の薫りがないので元の新聞記事を読むに如くはありませんが。オーミステイク事件なんかはあの写真がないと完全に識ったことにはなりませんし。

 昭和20年代にどっぷり漬かってみてどうもやっぱり現在のウェブはあらゆる点で負けているように感じます。そもそも、犯罪にメディアとして負けている。困ったもんであります。
 昔は貧しさゆえの犯罪が多かったと考えている方が多いのですが、当時の統計でも少年犯罪に限ると貧困家庭よりも中流以上家庭のほうが犯罪率は圧倒的に高いのです。<少年犯罪を考える>のデータを読んでもその点ははっきり判ると想います。
 なんか昔のほうが豊かさを感じさせます。まあ、この時代に比べると犯罪数が圧倒的に減ってるので最近の少年犯罪がしょぼいのは仕方ありませんが、ウェブが豊かさで負けている感じがするのはどうしたもんか。

 そう云えば、杉並切り裂きジャックのほうの脅迫状も完全なものになりまして、あれはとくに英文が間違いだらけだったのですが、ちゃんと元のジャックが書いたのを読むとじつに立派な英文で、あたしがたまに海外からの問い合わせにひーひー云って書いてる文章と比べれば見事なもんです。
 あんなことをやらかした次の日に被害者の家にあんなものを届けてるんですから、残虐さのほどはたいしたもんであります。

 ところで、これはkangaeru2001氏の意向でもあるのですが、ブロッグやらなんやらで新しい仕組みのウェブプログラムなんかを構築されようとしている方は<少年犯罪を考える>のデータを勝手につかっていろいろやってみませんかね。
 最近の詰まらんニュースや日記なんかより、あの手の実の詰まったデータのほうがやる価値があると想いますが。だいたい、最近の情報で苦労して蒐集加工してまで読むに値するものなんてひとつもないでしょうが。そんなものは「読まない」というのが一番便利なプログラムです。
 <少年犯罪を考える>のデータもあれだけ増えるとずらずら並べているだけではさすがに興がない。あんまり多いので落としているデータもありますし、なんか仕組みは考えんとならん。とりあえず、すべてのデータにアンカーくらいは付けようと想ってますが、なんか想い付いた諸氏はよろしく。許可なんか取る必要はないですから。
 個々のデータにそれぞれ感想欄なんかを付けるのはやっぱり無理があるかな。なんか、やりようはあるよな。