改めて問う!本とは何ぞ?! 1章
これから暫く、そもそも本とは何であるかを<本のド素人>諸氏に説くシリーズを展開する!!史上最強の書痴と証明された絶望書店主人(経緯は黒い薔薇の刻印のページを三回ほど読み返せば判る)がもったいなくも教えを垂れようというのであるからして、ありがたく押し戴くように!!
ここで云う<本のド素人>とは、既存の出版社、流通、本屋、コレクター、その他もろもろのことである。ほんとうは順序を踏んで、そのうちあなたの街にもいくかも知れませんというような具合に運ぶつもりであったのだが、昨今のコレクターの跳ね上がりぶりには眼にあまるものがあり、まずここから成敗することとす。いくら生きた本を送り出しても、この連中に端から虐殺されてはなんにもならぬ。
ここで云うコレクターとはSFやミステリー系の掲示板で、どこやらから聞き齧ってきた半端な知識を賢しらにひけらかし、たかだか釣り堀での漁をさも大冒険の如く獲物の名とともに恥ずかしげもなく掲げ、あたかもひとかどの書痴であるかのように誇っておる莫迦者どものことである。さても、この連中の黄金を土塊に換える手つきの鮮やかなることよ!
我とて同じ本を何冊も買い求める者がいることくらいは昔から識ってはいたが、本好きのなかでも極めて少数の莫迦が自涜に恥じ入りながら耽っているものとこれまで信じてきた。しかし、この手の掲示板では恥じるどころかダブリを自慢する輩があふれておる!商売で本を集めている絶望書店でさえダブリは手を出さぬというに!
人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んでしまえ!!!一冊の本を求めるとは命懸けの恋である!!!何故、ダブリの介在する余地があるか!!!
ましてや、さして興味もないが珍しいと聞いているのでとりあえず押さえたなどとほざく輩までいる始末だ!恋どころか、ただ片端から征服し陵辱し燔き尽くすことのみに快楽を覚えているだけのことなのだ!
こんな輩も溜め込むばかりではなく、幾ばくかの書を読んではおるのであろう。だが、一覧表を順につぶしてしていくような作業が果たして読書と呼べるであろう哉?いや、コレクションとさえ呼べまい!!
この連中は本をコマにして五目並べをしておるのだ!電網の発達で通信対戦が可能となり、莫迦者が増殖するようになってしまったのだ!莫迦同士の対戦に勝つことがあたかも書痴への道であるかの錯覚を起こし、莫迦の莫迦な高慢と本の大虐殺を招いてしまったのだ!
<本のド素人>どもめが!!!キサマなんかにコマにされた本の気持ちが判るか!!!
本の畜生道へと堕ちたる輩よ!諸氏らはただ人から渡されしリストの確認作業をしておるに過ぎぬ!それも、己が確認したことを確認するためだけの確認である!そこにはなにほどの発見とてなく、而して一閃の感応の奔ることもあり得ぬ!データを手に相手を品定めしているだけのことで、恋など生まれようもない!!!
絶望書店主人は本に番号をつける者に対し、まんがをコミックなどと呼ぶ者と並び最大限の侮蔑を投げかけるようにしてこれまで生きてきた。ところがこれらの輩はそれでは足らぬと、本を番号そのものへと貶めているのだ!!
諸氏らの魔法の手は掴んだ黄金をことごとく土塊に換えてくれる!そんな本のミイラを味わい旨いだの不味いだのと賢しらな感想文を綴っておるくらいなら、ラジオ体操にでも行ってオィッチニ、サンシと好きなだけ番号を唱えておれ!形がないと頼りない諸氏には表をハンコで一杯にしてもらえるぞ!釣り堀の如く会場はいくつもあるから、諸氏らの矮小卑劣なる征服欲も存分に満たしてくれることであろう!本である必然などなにもない!疾く、本など捨てよ!!!
もっとも、こんなことを云ったとて、莫迦者どもの腐った性根が治るわけもない。想えば生涯、土塊しか口にできず、それを御馳走だと喜んでいる哀れな存在ではある。要は分をわきまえてさえいれば、それでよいのだ。ゴキブリは隅でこそこそやっている分には、さしたる害はない。
真に甘美なる官能に酔いしれることのできる、本との恋に生きる諸氏よ!諸氏らはこんな輩に表通りを歩ませぬよう、つねに最大限の侮蔑を投げかけなくてはならぬ。愛しい者が辱めを受けているを、決して見過ごしてはならぬ。
侮蔑が足りない!もっと侮蔑を!もっと侮蔑を!こんな輩に対するに片時も軽蔑を忘れてはだめだ!
本とは何かもう一度考えてみよ!真の本好きの使命が自ずと判るはずである!そのためにもこの項は次回につづく!!
絶望書店主人 |